「ときわ会グループに経営権全面譲渡」福島地裁いわき支部認可へ

民間関連 18/06/2019

「翔洋会負債61億円で民事再生法も保全 監督命令で事業継続」健全経営へ全力投球「譲渡額12億4300万円」患者の影響避ける

 公益財団法人ときわ会と、医療法人社団ときわ会(ときわ会グループ常盤峻士会長、福島県いわき市)は、約61億円の負債を抱えて事実上倒産、福島地方裁判所いわき支部に民事再生法を申請していた医療法人翔洋会(小林俊二理事長、福島県いわき市=磐城中央病院、小名浜中央病院、磐城中央クリニック)の経営を引き受けることになった。17日、同市内で行われた債権者集会で、譲渡額12億4300万円で折り合いが付き、同裁判所いわき支部の認可を待って正式に運営を開始する。新体制の準備を進め、早ければ7月にも事業を引き継ぐことにしている。
ときわ会グループでは、翔洋会の職員(従業員)は、そのまま雇用する。

 同裁判所から保全命令と監督命令を受け、民間への経営権譲渡を担当していた菅田貴博弁護士は5月24日、いわき経済報の取材に対し、ときわ会に譲渡することを認めた。6月17日に、銀行を含めた債権者集会を開き、再生計画案を承認、議決されれば同裁判所の認可を待って7月にも運営を開始するといっていた。ときわ会2法人がスポンサーとして全面的に経営権を担当、健全経営を図る。

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 翔洋会は、昨年11月に負債総額61億6400万円を抱え、同裁判所に民事再生法の手続きをしたもので、事実上倒産した。しかし、診療や介護を含めた総合医療病院のため、社会的影響が大きいとして保全命令と監督命令を発動され経営を継続していた。

 翔洋会は、1968年6月に一般病床40床で磐城中央病院を開業した。87年4月に翔洋会とし、日本化成クリニックの開設に踏み切るなど経営は安定していたが、東日本大震災をきっかけに、大きな設備投資を余儀なくされた。18年3月期は約17億円の売り上げがあったが、絶対量の患者数が増えず、銀行などからの借入金や利息を含め、債務超過に追い込まれた。

 翔洋会の譲渡先については、葵会(新谷幸義理事長、東京都千代田区)が、スポンサーになるとささやかれていたが、葵会では、神奈川県(黒岩裕治知事)から厚木市にある旧県立七沢リハビリテーションを10億5000万円で移譲を受け、2018年8月に葵会七沢リハビリテーション病院として新規設立オープンした。しかし、医師らが計画通り集まらず病床数も半分以下に減らして混乱したスタートとなった。いわき市にある医療創生大学(新谷幸義理事長・旧いわき明星大学)を事実上乗っ取り、さらに、いわき市にある独立行政法人労働者健康安全機構の福島労災病院と清水敏男・同市市長は、同労災病院を同大学敷地内に移転させることにしているが、葵会は運営する同大学を医療教育に特化させる。仮に同労災病院の移転が実現したとしても、開業後も、同病院が赤字経営を余儀なくされるため、目に見えて民間への売却が見込まれ、将来、医科大学の構築を手助けするパターンとなる。
 東日本大震災後、政治的に仕組まれたという福島労災病院の移転は、文字通り医療大学に特化する葵会の思惑通りに進められそうで、また、今回は翔洋会のスポンサー(葵会)として譲渡は免れた。が、葵会の進出で同市内の医療関係者などが、かき回される危機感が漂っていただけに、ときわ会グループへの経営権の譲渡は、債権者などの常識的な判断だったといえる。
 ちなみに、関係者の話だと、葵会は、翔洋会の債権解消に13億円を上回る大幅な譲渡額を提示していたという。債権者は七十七銀行など市中ファイナンスで、近代的な設備投資による経営のノウハウがなかったのと、翔洋会に対する債権者の甘い考えが、経営難に追い込んだ。

◆敬称略 (真島勝三主筆・元日本工業新聞社東北総局長・元産経新聞社記者)

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