12月いわき市議会に上程「市の甘さ指摘、返還反対で波乱必至か」清水市長の釈明に注目「受給会社倒産で回収不可能」福島県いわき市

 大災害の復興に伴い緊急創出事業と銘打って行政や国会議員たちが雇用対策に「いわきコールセンター」=プロポーザル発注=をいわき好間中核工業団地の一角に誘致したが1年足らずで閉鎖に踏み切った。この会社は立地した時からインチキだとIT関係者たちから噂されていた。
緊急雇用創出基金事業は、同コールセンターのオペレーター人材育成のため、2012年4月から委託事業として設立した。国は誘致の該当自治体に合計43億円の補助金を充当した。
 同市は、この詐欺まがいの実態はつかめず同市が雇用対策のため支出したもので、システム機器リース金額1億7808万7360円と講師としての派遣費や従業員募集の宣伝費67万8000円が当てはまり、その返還金額は合計1億7876万5960円となり、福島県への返還に事務手続きを進めてきた。

 同市は2013年度に、同雇用創出事業委託費は6億350万4094円を支払っている。このため、返還金額を差し引くと、合計4億2473万8134円分を実質的に同市が支払ったこととなる。いわば税金の無駄遣いをしたことになる。同市は、当初は12年2月に7億5059万4600円だったが、13年2月に6億3697万950円に変更、最終的には雇用実績に応じて1億5000万円を減額、13年3月に6億350万4094円となった。

 清水市長は、12月に開会するいわき市議会に上程、同市議会の同意を得るが、同市が精査しないで委託事業を実施、手続などについて適正性などが問われ、同市議会議員の中には返還反対意見も根強く、同コールセンター不適正額返還問題は波乱となりそうだ。同市は17日、同市議会各派代表者に返還に対する説明を行った。この6月に福島県から同市に対し「早急に不適正な事案の解消に努めること」と指示されていた。
 14年8月に、厚生労働省が同市のほか盛岡市や登米市など全国19市町自治体に対し、DIOジャパンの関連子会社に事業委託実施した18自治体で不適正事案があると指摘し、返還を求めた。不適正支出額は総額4億554万311円とされ、いわき市が最も多い返還額となる。

 雇用者数500人ともいわれたが実際には267人の雇用だった。14年6月に同コールセンターは閉鎖。すぐに破産手続きが終了した。この事業に関連し、いわき産学官ネットワーク協会が主催となり元楽天トラベル執行役員によるDIOジャパンや楽天の経営戦略セミナーも開催した。この詐欺まがいの事業を見抜けなかった当時の同市サイドも甘かった。
 同市は、福島県から基金の返還を求められたため、8月に、合計1億7876万5960円を返還することを余儀なくされていた。この基金原資は国から福島県に交付され、同市へ支給された。東北の自治体の中で唯一、同市は返還を保留していた。

 同コールセンターはDIOジャパン(東京都・大手企業や銀行の元経営者らが社外役員として名を連ね運営)していたが、本体も14年に倒産している。このため、事業者からの返還は不可能となったことから事業主体の同市が返還することになった。
 厚生労働省の調査で一部不適正なことがあった。同市を含め19事業が閉鎖を余儀なくされ、各自治体はすでに返還を決めており、同市が最後の返還の決断を迫られていた。会計検査院が返還するよう指摘していた。

◆敬称略 (真島勝三主筆・元日本工業新聞社東北総局長・元産経新聞社記者)