梓設計も関係「基本設計ベースに監理随契に不透明」政治的に発展も。鹿島・清水不参加に出来レースか「プロポーザル・デザインビルド方式発注に疑問符

大成建設・常磐開発JV「新・いわき市立総合磐城共立病院」11日、上棟式挙行

 白亜の殿堂となる「いわき市立総合磐城共立病院」の新病院はあと14カ月でオープンする。9月の市長選で各立候補予定者は愚かな政争の具として市民不在の論争に話題を広めた。11日、工事を請け負った大成建設と常磐開発のJVの主催で、清水敏男市長ら関係者約80が出席し上棟式を挙行した。しかし、基本設計を行った梓設計は新病院建設から外されたはずが、神官の儀式で梓設計と読み上げられたため、この工事に関係することが分かった。

 同市関係者と大手ゼネコン関係者は、梓設計の設計が建設費の高額なため梓の設計を取り止め、大成建設が実施設計・施工する条件で受注した経緯がある。同市は、基本設計監理として梓設計に発注した事実を公表しなかった。同市は、基本設計をベースに大成に発注したことを認めており、大成に何のため実施設計まで組み入れたかは疑問が残る。さきの市長選に立候補した渡辺敬夫氏(71)は、新病院建設に疑問を投げかけ調査委員会を設けたいと公約していた。文字通り梓設計の監理の随意契約の公表を避けたことにも疑問が残る。

 この工事関係者は「監理(梓設計)ということなので上棟式に参加した」と語った。同市は「基本設計をベースに梓設計に監理をしてもらうため随契とした。大成に実施設計をさせるなら工事を受けるという話は知らない。プロポーザル発注とし70数億円の補助を活用するため、デザインビルド方式で大成1社だったため発注した」と語った。
 この新病院建設には、大手ゼネコンの鹿島建設と清水建設、さらに大成建設が入札に参加することになっていたが、梓設計の設計では、施工費が高くつくため受けられないと3社が下りた。その後、大手ゼネコン関係者らの話として「大成は、うちに実施設計、施工をさせてくれるなら受ける」と話していたという。同市はプロポーザル発注に決め、大成だけが参加した。
 来年12月に開業する新病院建設の発注に対し、いずれにしても梓設計の監理随意契約に残された不思議と不透明な約束事の発注は政治的に問題になりそうだ。

 さきの市長選では「工事中の共立病院の設計を一部改善するとか、膨らみ続ける建設費用とか、最新病院として設備を充実させるとか、民間委託を―」「共立新病院建設調査委員会の設置とか、あっという間に440億円に膨れ上がったとか、おれの時代に建設したとか―」などのチラシを配布、現役市長に対抗するため、他候補者がいいたい放題の論争を繰り広げていた。

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 共立は、文字通り骨材費や作業人件費のほか、地域がん診療連携拠点病院に指定されているため、最新鋭高度医療機器などの導入、骨材費や労務人件費が約50%上昇しているため、14年9月に297億6480万円で公募型プロポーザル応募1者だけの発注。15年11月に実施設計による機能充実や労働者確保で総額約402億円となる。17年2月に近代的な機器類追加で、27億円のリース化していたものを購入に切り替えたため、総額439億8000万円となった。国や福島県からの補助金は合計114億円となる。事実上の出費は、病院事業債と自己資金で約326億円となる。

 平則夫・病院事業管理者は「患者が流れてはダメなので入ってくるようにしたい。医師不足はどこでも問題だが解消に努めたい」と語る。
同病院の自己資金などは10億2000万円で、病院事業債は315億8000万円となる。5年間据え置き、30年償還となる。
 新病院には、地域がん診療連携拠点病院の機能を持たせ、第2リニアック治療室を設けてSPECT/CT、MRIなどの高度医療機器を導入する。
新病院の病床は、基本計画では670床だったが、30床増やして実施設計で700床となった。

 同市は元市長時代に、同市ではほとんど実績がない梓設計(東京都品川区)に基本設計を発注したが設計工事費が高く新病院建設に応募した鹿島建設、清水建設、大成建設の3社は受注しても赤字を余儀なくされるため、工事の受注はあきらめた。しかし、関係者によると、大成が実施設計も受けられれば工事は請けると約束したために、同市が一括発注としたという話が業者間に伝わっていた。骨材費や労務費などの上乗せは3社に説明している。

 新病院の総事業費は、大手ゼネコンの大成建設と地元業者となる常磐開発のJVで、文字通り受注額は297億6480万円だった。デザインビルド方式(実施設計も大成建設)で一括受注し、58億8000万円増額で合計356億5000万円となっていた。そのほかの事業費を含めると15年見込みで総事業費は402億3000万円だった。

◇おことわり この記事の一部は既報となります。■写真=新・いわき市立総合磐城共立病院建設進む。

◆敬称略 (真島勝三主筆・元日本工業新聞社東北総局長・元産経新聞社記者)