「ベッド数市民の医療に合わせる。規模縮小はメリットがない」数年後に移転へ

 いわき市の清水敏男市長は30日、同市内で福島労災病院(独立行政法人労働者健康安全機構)渡辺毅院長、いわき明星大学の山崎と、同病院が同大学敷地に移転=昨年8月25日臨時・特別号既報の通り=するため、3者で移転に関する基本合意書を交換し締結した。

 同病院の渡部毅院長は「62年たち老朽化が進む。大震災の影響で新しい病棟(30年近く経つ)も環境が悪化している。いわき医療圏のより望ましい地域医療だけでなく町の活性化などにメリットが大きい。昨年8月に医師会の准看護学校が開校(いわきニュータウンに)教育養成機関と連携できる。ベッド数など可能な限り市民の医療に合わせ対応したい。縮小(規模)はメリットにならない。数年後に移転する」と語った。

 同用地は運動場として利用するはずだった第一種中高住居専用地域で、面積約3・3ヘクタール(法面を含めると約8ヘクタールから9ヘクタール)あり、同市との合意事項で、無償提供された土地は目的外使用の場合は同市に返還する取り決めだった。この同大学用地と、同市内郷に立地している同病院用地、面積約3ヘクタールを等価交換のため不動産鑑定による手続を行う。

 この基本合意によると、いわき市の医療体制の強化を図るため、移転実現へ向けて取り組む。3者は公共性を認識するなどとなっている。

 同病院は1955年に、常磐炭鉱の労働災害に対処するため、内科、外科、整形外科の診療科として病床数50床で開業した。現在は406床規模の中核病院。同病院は、赤字経営が続き閉鎖も検討されたが、6年前に発生した東日本大震災後は双葉郡(福島県)の避難民が、同市に2万人を上回る居住を余儀なくされ、避難民の診療に当たり経営は黒字に転換した。また、同大学は1987年4月に開学し、薬学部、看護学部などがある。来年度は理学療法学部の新設で、ソーシャルワーカー(社会福祉士)や理学療法士を育て、福島労災病院の移転を契機に、将来は医療福祉大学を目指す。

福島労災病院移転で基本合意締結「いわき明星大用地鑑定実施へ」

 新たな同病院建設を進めている。大きな病院が分散することで災害時にも医療体制の構築に向上できる。

 清水市長は「医療の充実の観点から現在新築中の共立病院と関係の中で、地域医療を守るバランス良く立地することは災害の面からしても大変いいことだ。震災前から医師不足で、共立、労災病院が新築(移転)され、さらなる若い医師がきてくれることを願っている。鑑定には差額が出るかも。利用(労災病院移転後)は検討中」と語った。

 山崎学長は「薬学部の実習は開学以来労災で指導を仰いできた。4月の看護学部も主要な実習先として指導してもらう。大学と隣接されることは実習の効果に期待できる。共同研究とか、施設医療など当然考えられる。地域の環境整備、2019年4月には健康医療、理学療法士の実習など指導を仰ぎたい。市を中心とする地域医療の貢献は間違いない」と語る。

 関係者によると、福島労災病院移転は早ければ2022年ごろまでにもオープンさせたい考えという。投資額は高度医療化を図り、数百億円規模になるという。

■写真は左から渡辺毅院長(福島労災病院)・清水敏男市長(いわき市)・山崎洋次学長(いわき明星大学)

◆敬称略 (真島勝三主筆・元日本工業新聞社東北総局長・元産経新聞社記者)