船外機付きゴムボート出動せず。ヘリから落下事故防げたか

公共関連 20/11/2019

台風19号による平窪地区浸水で助け求めるも悲惨な結果に

 福島県いわき市内は台風19号の影響が大きく、夏井川の氾濫などにより上・中・下平窪地区が約1㍍から約2㍍という浸水に見舞われ、10月13日午前10時ごろ住宅に取り残され孤立状態だった女性、湯沢昭子さん(77=当時)を東京消防庁のヘリコプター(はくちょう)の救助活動で助けられるはずだったが、釣り上げの最中、約40㍍の高さから落下した事故。まだ記憶の新しい事故だが、隊員の命綱・ハーネス(安全ベルト)のフックが固定されていなかった。

 この事故は清水敏男市長が、東京消防庁に救助を依頼、同庁はヘリコプターを出動させ救助に当たったが、安全ベルトのフックが女性の体に固定されていなかったことから落下、病院に運ばれたが死亡したというもの。
 本誌に18日、情報を寄せた市民のSさん(50)は、「同市に船外機付きゴムボートがあるのに、なぜ出動させなかったのか疑問が残る」と指摘した。このため19日、記者が同市に確認したところ、この船外機付きゴムボートは出動していなかった。

 清水敏男市長が同市所有の船外機付きのゴムボートを出動させていれば、このボートで救助に向かうことができ、女性を助けられた確率は大きい。同庁のヘリを要請する前に、なぜ船外機付き(動力)ゴムボートを出動させなかったか、清水市長の指示がなかったとすれば人災に近く道義的責任を追及されそうだ。女性の死亡につながるという悲しい出来事は防げたと関係者は指摘している。
 
 この船外機付きゴムボートは、オカモト製の最大搭載6人乗りで、最大許容出力30PS、許容圧力02・2㌔㌘のゴムボート。動力はTOHATSU製、2・5馬力となる。購入価格は合計96万9000円となる。

 なお、東京消防庁は、この事故で謝罪の記者会見(東京)で行うとともに家族にも謝罪、10月19日の告別式には小池百合子知事が参列し追悼の意を表しているが、清水市長は、現地(いわき市)の記者会見で謝罪していないという。

 土木部の根本英典部長は「13日午前に平消防署(谷野真所長)からボートを貸してほしいと要請を受けたが、結果的に出動できなかった」と釈明しているが、清水市長の怠慢が露呈した形だ。このボートは船外機を使用しないでもオールがあり、小型船舶免許がない場合でも使用できるという。ちなみに船舶免許を所有している職員がいないという。

◆敬称略 (真島勝三主筆・元日本工業新聞社東北総局長・元産経新聞社記者)

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